「大祓詞」の簡素な意味と訳 ②

 

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たかあまはらにかむずまります    すめらがむつ  かむろぎ     かみろみのみこと もちて
高  天  原 に 神 留 坐 す     皇 が 親    神 漏 岐      神 漏 美 の 命 以 て

やおよろず    の    かみたちを  かむつどえにつどいたまい   かむはかりにはかりたまいて
八  百  萬  の   神等を    神 集 へ に 集 へ 賜 ひ   神 議 り に 議 り 賜 ひ て

あがすめみまのみことは    とよあしはら の  みずほのくにを
我 が  皇 御 孫 命 は    豊  葦  原  の 瑞  穂 の 国 を

やすくにとたいらけく     しろしめせと         ことよさしまつりき
安 国 と  平 ら け く  知食せと      事 依 さ し 奉り き

かく   よさし    まつりし くぬちに      あらぶる    かみたちをば
此く 依 さし 奉りし  国中に      荒 振る  神 等 を ば

かむとわし     に    といたわし       かむ はらいにはらいたまいて
神 問 わ し に  問い賜わし   神 掃 ひ に 掃 ひ 賜 ひ て

ことといし    いわね    きねたち       くさのかきはをもことやめて
語問 いし   磐根   樹根立ち 草 の 片葉をも 語 止 め て

あめのいわくらはなち あめのやえぐもを       いずのちわきにちわきて         あまくだしよさしまつりき
天の 磐 座  放ち      天の八重雲を    伊頭の千別きに千別きて 天降し依さし奉りき

     

・「高天原」は現実には(宮崎県西臼杵郡高千穂町三田井)付近。
・「皇がら親」は皇祖神の事で、「神漏岐」と「神漏美」 が会議の命を下しました。
・  八百萬の神等は「天津神」、「国津神」を含む多くの神々たちです。
・「我が皇御孫命」 は 「瓊々杵尊 (ににぎのみこと)」の事です。
     半は「瓊々杵尊(ににぎのみこと)」の武勇伝です。
「豊葦原の瑞穂の国」は、  葦が豊かに良く繁り、瑞々(みずみず)しい稲穂の実る国です。
・「此く依さし奉りし国中に荒振る神等」とは、 「国津神」の事です。
     その代表格が「大己貴命(大国主神)」でした。 九州より日本本土に皇族軍が押し寄せてきます。
・「語問 いし磐根樹根立ち草の片葉をも語止め て」ですが、「語問 いし」はざわついた様子でしょか。
    「磐根」は「磐(岩石)」の事です。「根」は「屋」の事を「屋根」と言うの同じらしいです。
     自然のざわつきも無くなり、「天下」が統一されて、沈静化した様子を表しているようです。
・「天の磐座」は天の御座(御座所)です。
   「天の重雲を伊頭の千別きに千別きて天降し依さし奉りき」ですが、現実的には九州の本拠地「高天原」から
   本土へ皇族軍が進軍してくる様子を表しているのであると感じます。

 

●簡単な訳●

「高天原に坐します皇祖神(「かむろぎ」と「かみろみ」の事)の神勅を受けまして、沢山の神達が会議に御召集しました。

「瓊々杵尊」は「豊葦原の瑞穂の国」として平和に治めよと、御任命されたのでした。

この国中には、いまだ荒振る神等がおられたが、説得できる神達は説得して、出来なけば排除しました。「磐」も「草木」も静まりかえった様子でした。

「瓊々杵尊」は「天の御座」より離れて、幾重もの雲をはらいのけ、天よりこの地に奉らせたのでした。

 

 

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かくよさしまつりし      よものくになかと   おおやまとひだかみのくにを  やすくにとさだめまつりて
此く依さし奉りし    四方の国中と       大倭日高見の国を        安国と定め奉りて

したついわね  に  みやはしらふとしきたて たかあまはらにちぎたかしりて
下津 磐根   に   宮柱 太敷き立て        高天原に千木高知りて

すめみまのみことの みづのみあらか  つかへまつりて あめのみかげ   ひのみかげとかくりまして
皇 御 孫 命  の    瑞の御殿       仕へ奉りて    天の御蔭  日の御蔭と隠り坐して

やすくにとたいらけくしろしめさむくぬちになりいでむ
安 国 と  平 け く 知しめさむ国中に成り出む 

あめのますひとらが      あやまちおかしけむ くさぐさのつみごとは
天 の 益 人 ら が    過 ち 犯 し けむ 種 種 の 罪 事 は

あまつつみ くにつつみ ここだくのつみいでむ
天津罪       国津罪     許許太久の罪出む

かくいでば あまつみやごともちて
此く出ば  天津宮事 以ちて

あまつかなぎを   もとうちきりすえうちたちて ちくらのおきくらにおきたらはして
天つ金木を    本打ち切り末打ち断ちて 千座の置座に置足らはして

あまつすがそを   もとかりたちすえかりきりて      やはりにとりさきて
天つ菅麻を    本刈り断ち末刈り切りて 八針に取り裂きて

あまつのりとのふとのりとごとをのれ 
天津祝詞の太祝詞事を宣れ

 

・「四方の国中」は四方の真ん中を意味します。日本の中心の事です。
・「大倭日高見の国」は神武天皇が都に定めた場所。
   「日高見」とは上から見て「平らな地」を意味します 。 又、「常陸国」という意味もあります。
・「
下津磐根」は「底つ岩根」とも訳せまして、「宮柱太敷き立て」は、底深く「宮柱」を打ち建てたの意味。
「高天原に千木高知りて」は、「高天原のように千木が高く」の意味で立派である事。
 「千木」は宮殿の「屋根」のうようなもの。
・「皇御孫命の瑞の御殿 」は、神武天皇以後の治世における「麗しい御殿」である事。
・「天の御蔭」は、「雨、風。露、夜の気」を避けるの意味。
・「日の御蔭」は、「日光大気」を避ける意味。
・「天の益人ら」は、「天」の国(日本)に増え続ける人々。
・「天津罪」は、概して「素戔嗚尊」が犯した罪。
・「国津罪」は、神々とこの我々が生活する世界に発生する罪事
・「天津宮事」は、天皇直下の朝廷の政務事。真榊
・「天つ金木」は、真榊(まさかき)の事。
・「天つ菅麻」は、水草(みずくさ)の事。  

 

●簡単な訳●

日本の中心で、天高く平らな「倭の国」の都と定めまして、
大地の底深く宮柱を打ち建て、宮殿の「千木」は天にも迫るほどであった。

天皇の御為に、麗しい御殿を造りまつり、天皇は「天下太平」の為に政務を下されました。

その国中に生まれる人々が、過ち犯す様々な罪事は「天津罪」と「国津罪」と、取りとめなく多くの罪が出るでしょう。

そのように多くの罪が発生するなら、朝廷の政務(祓行事)において、「天つ金木(真榊)」の「本」と「末」を切って取り、中の良い部分で「置座」を作って、「祓物」を沢山積み重ね、「天つ菅麻(水草)」も同じように「本」と「末」を切り取って、中の良い部分を「針」を使って取りさき、天津祝詞の太祝詞事を宣り上げるのである。

 

 

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かくのらば   あまつかみは あめのいわとをおしひらきて
此く宣らば 天津神は天の磐戸を押披きて 

あめのやへぐもを  いづのちわきにちわきてきこしめさむ
 
天の八重雲を 伊頭の千別に千別きて聞食さむ

くにつかみは たかやまのすえ  ひきやまのすえにのぼりまして
国津神は     高山の末      低山の末に    上り坐て

たかやまのいぼり  ひきやまのいほりを    かきわけて    きこしめさむ
高山の伊褒理   低山の伊褒理 を  掻き別けて  聞食さむ

かくきこしめしてば つみというつみはあらじと  しなどのかぜのあめのやへぐもをふきはなつことのごとく
此く聞食してば 罪と云う罪は在らじと 科戸の風の天の八重雲を吹放つ事の如く

あしたのみぎり ゆうべのみきりを  あさかぜゆうかぜのふきはらうことのごとく
朝の御霧        夕の御霧を         朝風夕風の吹拂う事の如く

おおつべにをるおおぶねをへときはなち ともときはなちて おおうなばらにおしはなつことのごとく
大津辺に居る大船を舳解放ち   艪解放ちて   大海原に押放つ事の如く

をちかたのしげきがもとを やきがまのとがまもちてうちはらふことのごとく

彼方の繁木が本を    焼鎌の利鎌以て打掃ふ事の如く

 

・「天津神は天の磐戸を押披きて  」は「素戔嗚尊」が犯した罪としての「天津罪」に対しての解釈。
  引きこもっていた「天照大神」が出てくる力をもつ祝詞であるのが「天津祝詞の太祝詞事」。

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・「伊褒理」は「いぶり」の事。しかし高山と低山の「いぼり」なので山の濃霧と訳します。
・「科戸の風」は海辺の風。
・「彼方の繁木」の「彼方」は「あそこ(場所)」の意味。繁木は「雑木」の事 。
・「焼鎌の利鎌以て打掃ふ」は「鎌で雑木」を拭き刈る様子。

 

●簡単な訳●

かく宣られれば、天上の神は天の磐戸を押し開き、やえ立つ雲を掻き分けて聞き届けます。

国の神々たちは高い山や低い山を登り、山にかかる濃霧を掻き分けて聞き届けます。

かく聞き届けられれば、罪という罪は消えてしまい、海辺の風がやえ立つ雲を吹き掃うように。

朝と夕に立つ霧を吹き掃うように。

港にある船の綱を解き離して、大海原に押放つように

「彼方」に繁殖している雑木を、焼鎌の利鎌できれいに刈り上げるように。


 

 

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のこるつみはあらじと はらへたまひきよめたまふことを たかやまのすえ。ひきやまのすえより
遺る罪は在らじと  祓へ給ひ清め給ふ事を   高山の末  低山の末より

さくなだりにおちたきつ           はやかわのせにます せおりつひめというかみ おおうなばらにもちいでなむ
佐久那太理に落ち多岐つ 早川の瀬に坐す 瀬織津比売と云う神   大海原に持出でなむ

かくもちいでいなば   あらしおのしおの  やおぢの やしおじのしほの  やおあいにます
此く持ち出で往なば  荒潮の潮の  八百道の八潮道の潮の  八百曾に坐す

はやあきつひめといふかみ もちかかのみてむ
速開津比売と云う神  持ち加加呑みてむ

かくかかのみてば   いぶきとにますいぶきどぬしといふかみ ねのくにそこのくににいぶきはなちてむ
此く加加呑みてば 気吹戸に坐す気吹戸主と云う神  根国底国に気吹放ちてむ

かくいぶきはなちてば ねのくにそこのくににます はやさすらひめといふかみ もちさすら いうしなひてむ
此く気吹放ちてば  根国底国に坐す 速佐須良比売と云うふ神 持ち佐須良ひ失ひてむ

かく さすらいうしなひては  きょうよりはじめてつみというつみはあらじと
此く佐須良ひ失ひては  今日より始めて罪と云うふ罪は在らじと

きょうのゆうひのくだちのおおはらへに はらへたまひきよめたまふことを もろもろきこしめせとのる
今日の夕日の降の大祓に                祓へ給ひ清め給ふ事を         諸々聞食せと宣る

 

・「佐久那太理」は「真下垂(まくなたり)」の事で、勢いのある渓流の事
・「荒潮の潮」は塩の流れ、潮流の意味。 「八百道の八潮道の潮」は幾重の潮流を超えての意味。
・「気吹戸」は「下関あたり」らしい説がある。

 

●簡単な訳●

残る罪がないように、祓い清めていただいた罪を、山々(高山や低山)の末(峰(みね))より

早い流れの渓流(川瀬)におられます、瀬織津姫(せおりつひめ)様という名の神が、

大海原に持ち出してくれるでしょう。

持ち出して頂くと、潮流が渦巻く場所におられる、速開津比売(はやあきつひめという名の神が、ガブガブと飲み干してくれます。

飲み干してくれますと、気吹戸におられます、気吹戸主(いぶきどぬし)という神が、その罪を受け取られ、根国底国(黄泉の国)へ吹き放たれます。


そして吹き放たれますと、根国底国(黄泉の国)におられます、速佐須良比売(はやさすらひめ)という名の神が、完全に消し去ってしまうでしょう。

このように跡形もなく罪事が消えさってしまえば、今日からはじめて罪という罪がなくなる事を、今日の夕日が傾く頃に行われる大祓において、祓われ清められる事実を、参列者に話して聞かせます。

 

 

 

以上になります。

最後に大切な事を、少し書き残しておきます。

 

「大祓詞」は、これにより「穢れ」を払い除ける事実を書き残しております。

その事実とは、すでに解決された過去の出来事を交えて説明しています。

 

この国の過去に何があり、どのように治世が収まって行くのかが書かれています。

この「大祓詞」とは、過去の産物でありますが、実は「未来」の産物でもあるのです。

 

私達が今後、苦境に立ち、払い除けたい問題があるのであれば、「大祓詞」を読み返して「同化」するのです。

 

「大祓詞」の後半に書かれた内容は、「これにより完結する」と言うような言い回しの文章だらけです。

 

私達が「未来」に対して、同様に「これにより完結する」と言うような、世界を決定(設定)するような時間を作り出す働きが生まれるでしょう。

 

もっと色々と説明したいですが、簡素にご理解ください。

そして、「大祓詞」は色々な言い回しの文が御座います。

 

どうぞ、ご自身にあった「大祓詞」を見つけてみて下さい。

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