前回の続きを書こうと思います。
文化には構造があり、実は「宗教」や「道徳」といった身近な事も、実は文化の構造体であるという事を書いたと思います。
文化に違いがあると言う事は、つまり何であるのか。
簡単ではありますが、書き綴ろうと思います。
下の写真をご覧ください。昔の事ですが、「飛び道具」と言ったら、このような「弓」を使っていました。
photo credit: Auntie P via photopin cc
対して、現代社会では、こんな飛び道具に変化しました。
photo credit: enigmabadger via photopin cc
以前に「パラダイムという存在」の投稿で書いた事ですが、不思議と「パラダイム」が途端に変化しても、人間はその道具を扱えてしまうのです。
今回の例では、「弓」が「銃」になっています。
不思議ですが、扱えてしまうのです。もし、戦国時代に「銃」がタイムスリップしていたとしても、当時の人はおそらく使えたと思います。理由は、同じ「飛び道具」だからです。「飛び道具」という文化の構造内の使用物は、形が変化しただけですから、誰でも使用できます。
くどいですが、同じ「飛び道具」だから使えてしまうのです。
文化の構造は、誰がいつ作り上げた物か解りません。
その構造体は、どの文明も同じです。
同じ構造の文化ですので、「飛び道具」はどの文化にもあったでしょう。違うとしたら何が違うのでしょうか。
そうです。単純に道具が違っているだけです。
道具が違うのだから、文明が進んでいる?という訳ではありません。これを科学的に調べたのがクロード・レヴィ・ストロースです。
服も着ないで弓矢で生活をしている人達を見ると、明らかに我々の方が進んでいると感じるのが普通です。ところがです。生活の営みに、我々と変わる所がないという訳です。
これまた、すごい事です。何がすごいか説明させて下さい。
私が入社した当時、まだ「パソコン」が普及しはじめた時でした。働いている部署内の人達は事務員以外、「パソコン」が扱えません。特に他の部署の方々と比べても努力しませんし、「WORD」に対して「手書き」、「メール」に対して「FAX」、「エクセル」に対して「手書きカード」等、何としてもアナログとして対抗していました。
私は、ある時に気付いた事がありました。それは部署の1人が「缶ジュース」を買ったのです。その時、「この部署はいける」と思いました。
多少ですが、私は会社内でパソコンが出来ました。まず、彼らが「手書きカード」としていた物をパソコン上に表示しました。
「手書きカード」そのものが画面上に表示されるようにしました。
又、お得先から届く「納品書」には通常ですと「バーコード」が付いています。そこで「バーコードスキャナー」を買いました。
今までは、「手書きカード」を探して書き込んでいた作業が極端に軽減されて行きます。バーコードを読取り、数字を入力するだけの作業になったからです。
他の部署ですが、エクセルをとんでもなく使いこなしています。
しかし、我々の部署ではそんな人はいません。
それでも、他の部署より作業効率が上がったと思います。
結局は何が正解であったかですが、私が 「缶ジュース」を買うのを見て、クロード・レヴィ・ストロースの理論が頭に浮かんだ事です。彼らは、我々の文明と同じ自動販売機という道具を使いこなしている。
つまり、彼らが使っている道具が進化すれば良いだけだったのです。
データベースにおいてはVbで画面上に「手書きカード」を再現して記録はmysqlが勝手に残し、瞬時にデータを捉える事が誰でも出来るようになりました。もちろん、データはエクセルにエクスポート出来るので、「表」を書くという作業も無くなりました。
「メール」は「Scansnap」を購入して、箇条書きしたメモをPDFにして事務員が送信していまいた。
他の部署から「遅れた人達だ」と思われていた部署です。それが、使っている道具の使用感は変わらず、道具が進化しただけで他部署を追い抜いたのです。
今は、そうした方々はみんな定年退職してしまいました。
文化というものは、差異(違い)がありません。もしもあったとしたら、ここに書いたような出来事は絶対に起こりません。
私の部署をバカにしていた方々も、私の部署も文化水準は同じであって、違うとしたら、道具が優れているかの違いだけです。
道具が違っているだけで、差別できますか?
「布のオムツ」と「パンパース」があって、どちらを差別できますか?
我々の文化に違いはありません。故に本来は仲良く出来るのです。ところが、何故か仲良くできません。その理由は「私の記憶にある文化」の投稿で書き残しました。
知識は、持っていると大変に助けてくれる有意義な存在です。
しかし、固執せずに吞まれない事です。
逆に知識の奴隷になってしまいますので。
最後まで目をとおして頂き、有難うございました。
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